900本目！
我が生涯を通し、キューブリック作品の中でも圧倒的な観賞回数を誇る戦争映画の傑作「FULL METAL JACKET」
とにかく私の親父が昔から大好きな作品でして、
幼少の頃よく親父が夜な夜な本作を観てて、それ以来ほほえみデブの凶行シーンは忘れ難いトラウマとして純然たる童心に深く刻まれることに…。
汚い言葉のオンパレードは当時の私には露程も理解できてなかっただろうけど(漢字も読めないし)、よくよく考えるとよくも子どもにこんなん見せれたもんだなとも思います。
若きアメリカ訓練兵をベトナムの戦地へ送り込むため、彼らを殺人兵器に仕上げる地獄のカリキュラムが展開！
非道なしごきを繰り出す鬼教官のハートマン軍曹と絶望的劣等生ほほえみデブとの掛け合いはホント何度見ても最高です。
そして後半の緊張感溢れるベトナム殺戮最前線の実状。
この狂気の二部構成は意図的に我々の感覚を麻痺させ、戦場における本当の地獄を強烈に印象付けます。
ベトナム戦争の大義名分など戦地では意味をなさず、
ただ生き残るため個人の理性や人道を次第に曇らせ、殺戮の狂気へと駆り立てられてゆく兵士たち。
皮肉屋の天才キューブリックがエンディングに挿入させたThe Rolling Stonesの名曲「Paint It, Black」は、そんな兵士の心が黒く塗りつぶされてゆく様を揶揄しているかのよう。
またキューブリックに任された原田真人の字幕翻訳も相当な代物ですが、
なんと来月はお蔵入りとなった幻の日本語吹替え版がついに発売されます。
はたして字幕を凌ぐ、放送できぬほどの日本語音声が聴けるのか？
公開30周年の節目に初解禁されるこちらの"狂気"も是非とも注目したいポイントです。
