凄かった。あまり戦争映画を見たこと無く、思い返してみると戦場のピアニスト以来のような気もします。
キューブリック作品は10代半ばのときにアイズワイドシャットを背伸びして鑑賞し、十代後半のときに授業で見た時計仕掛けのオレンジレンジに衝撃を受けて、シャイニングなどを鑑賞しました。
毎回思うのが、セリフ、映像、音楽全てを使って観客を飽きさせず、映画の世界に引っ張っていくような力を感じます。
そして初めてこのフルメタルジャケットを鑑賞しましたが、初っぱなから強引に世界に引っ張られました。
ハートマンのあのクソ汚ない口から糞尿垂れ流して全員に塗りたくるようなあのクソ台詞!
ヤバい!ヤバい!ヤバい!
序盤はハートマンの口悪下ネタワンマンショーで観客を持って行きつつ、ほほえみデブのシゴキのシーンによって ズシッ ズシッと心に何かを残していきます。
そして前半のクライマックス。
不穏な音楽。
ほほえみデブのあの表情。
そしてあのセリフ「フル…メラル…ジャケット…」
圧倒的な絵力にやられました。
前半は訓練学校を舞台に閉塞感が漂っていてその閉塞感がうまくクライマックスに繋がって行ったと思いました。
後半は戦場での話になり一気に解放的になります。この解放感が逆に戦場にいる人達の空元気感を表すのに合っていたと思います。
でもこれほど前半と後半で雰囲気がガラッと変わる映画も珍しい。
あんなミッキーマウスマーチ初めて観ました。