回想シーンでご飯3杯いける

フルメタル・ジャケットの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)
4.0
スタンリー・キューブリックが描くベトナム戦争。いやー、凄いわ、これ。

前半はアメリカ本土での海兵隊の訓練風景、後半はベトナムでの実戦という2部構成になっている。前半のキモとなる鬼教官の罵倒は、僕達日本人にとっては字幕が全てという事になるのだが、これ、戸田奈津子が書いた字幕を英語に逆翻訳したものをキューブリックがチェックした際に、表現がぬるいという事で却下され、別の翻訳担当による、より過激な字幕に差し替えたらしい。

そして、何と言ってもラスト30分を使って描かれるベトナムでの市街地戦シーン。訓練後に着任した小隊の前に立ちはだかるのは、ビルの物陰から銃弾を的確に打ち込んでくる謎の狙撃兵。味方数名を失いながら、最終的に対面した敵の正体を知った時の衝撃といったら! 顔の見えない相手、敵に対する偏見という、戦争の根っこにある人間の愚かさを比喩的に描いた、正に映画らしい映画だと思う。

近年の派手な作品にはかなわないものの、人間の内面にある「戦争」を中心に描いた、本当の意味で恐ろしい作品だ。ローリング・ストーンズの"黒くぬれ"など、当時のアメリカ兵が聞いていたであろうロックンロールの名曲が多数使用され、時代背景を鮮烈に映し出しているのも特徴。