これまで観た戦争映画の中ではダントツ1位だと思う。地獄の中で日々を生きていく様子を見て、顔をしかめずにはいられない。キューブリックのセンスに溢れてる。戦争はいやだ！と言う感覚はもちろん感じるけど、戦争そのものを描いている印象。不自然に情に訴えたり、ヒーローに見せたりしない感じが好感持てる。
前半パートは、鬼教官の非人道的で体罰もりだくさんの訓練を受ける様が描かれる。ふっくらおっとりしたレナードの心が少しずつ壊れていく過程が辛い。レナードの特技が分かってこれで鬼教官からも少しは認められるのでは、と安堵したのも束の間、あの悲劇。怖い。ここまであまりにもあっという間に1時間が過ぎて驚いた。
後半パートは、訓練所を出て戦地に駆り出される。敵の思う壺で、感情かき乱されて弾を無駄に使ってしまう感じがリアル。落ち着くべき時なんだけど、落ち着けるわけない。笑えない冗談を言う彼らが、滑稽にも可哀想にも見える。戦争の惨さを感じる。狙撃手の正体がわかった時、はっと息を飲む。再鑑賞した今回も分かってはいても、その姿に引き付けられる。ラストのミッキーマウスマーチを歌う様子が、中学生で観た私には異様で不気味で怖かったし、しばらく頭にこびりついていた。
うん、中学生にはあまりにも早すぎたんだろう。
キューブリックのセンスの凄さを痛感。きっとまた繰り返し見るだろう作品。
