むーしゅ

パッセンジャーズのむーしゅのレビュー・感想・評価

パッセンジャーズ(2008年製作の映画)
1.9
 Anne Hathaway見たさに鑑賞。監督はノーベル文学賞も受賞しており「百年の孤独」の著者として有名なGabriel García Márquezの実の息子Rodrigo García。

 セラピストのクレアは、飛行機事故で生存した5人の患者を受け持つことになる。ところがグループカウンセリングをはじめると、回を追うごとに患者が行方不明となり一人づつ人数が減っていく。患者が消えていく原因が航空会社の隠ぺいだと疑い始めたクレアは真相を解明しようとするのだが・・・という話。最初はずっとサスペンスノリで進んでいき、最後で衝撃が待っているという「シックス・センス」系映画です。

 この映画、何とも古い。80-90年代のハリウッド映画のような作品で、正直2008年に作られたとは到底思えないです。サスペンスなのにメタファーとなるようなものはほとんど出てこない、ラストに向けての伏線はどれも直球型、そしてそもそも伏線が無駄に多い。かといって推理できるかといったらそんなことはない。推理ものでは最初に殺されるのは大抵冒頭で目立った嫌な奴ですが、これは裏を返せばキャラクターが立っているからですよね。だから退場しても、印象としては残り続けるわけですが、本作はまだ主人公以外のキャラクターに目を向けさせる前から、人が消え始めるので物語についていくのがやっとです。それなのに先ほどの通り、直球型の伏線要素をどんどん放り込んでくる。そして極めつけはそんな状況でいきなり、Anne HathawayとPatrick Wilsonのラブシーン。と思ったら「患者と寝ちゃった」と嘆く主人公。思わず「お前はティーンエイジャーか」と突っ込みたくなります。Cameron Diazの笑えるラブコメ見に来たわけじゃないけど?みたいな気分です。この辺もなんかとりあえず話題作りにはベッドシーン必須だから、家族が見そうな映画でもとりあえず入れちゃえ的な80-90年代映画っぽい。

 そしてAnne Hathawayが出ているのに、全くAnne Hathawayの良さが見つからない。同年公開はアカデミー賞の主演女優賞にもノミネートされた「レイチェルの結婚」と「ゲット スマート」。「プラダを着た悪魔」(2006年)から「アリス・イン・ワンダーランド」(2010年)にかけての乗りに乗っている状況で、こんなにも刺さってこないものでしょうかね?正直この主人公を演じるにはまだ早かったんじゃないかと思います。とはいえ、他に魅力もないので、ある意味タイトルは「アン・ハサウェイのパッセンジャーズ」で良いと思います、ほんと。

 ちなみに結末に関しては、「こんな結末だったら嫌だなぁ」と思ってみていたら、ドンピシャでした。「シックス・センス」と同じ90年代に公開していれば、衝撃のラスト!みたいな見出しで市民権を得たかもしれませんが、2008年公開としては辛い、そしてさらに時間が経過した今見返すのは、、おススメしませんね。
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