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American Teen/アメリカン・ティーンのRのレビュー・感想・評価

4.3
アメリカのインディアナ州にワルシャワという町あり。白人とクリスチャンと共和党支持者の多い、中流階級がメインの、中西部の典型的な片田舎。そこで高校最後の一年を過ごす学生の生活を追ったドキュメンタリー。主な登場人物は、スクールカーストの頂点に君臨する美女軍団の長メーガン、バスケ部の花形コーリン、底辺にいるマーチングバンド所属のオタク系ジェイク、カースト中間に位置するアート系女子ハンナ。それぞれの経験する高3のヒリヒリした生活がありのままに展開するんやけど、すんごいんす。もーね、見てて何度も、うわー! あー! と声上げてまうし、突然ぶわっと涙が出てきたりするし、退屈だなーというシーンもあるけど、とにかくリアル! まードキュメンタリーやから当たり前やねんけど。見てる自分がどんな高校生活を送ったか、現在どんな人間か、などによって見るポイントがかなり変わりそうな作品。エピソードが細切れなので若干長く感じるのが玉に瑕やけど、誰しもが深い感動を与えられるのではないかと思われる。僕個人としては、日本の高校生との違いにかなり意識が向いた。まずね、アメリカはカースト底辺のレベルが高い! ジェイク君、あんた日本に来たら結構ふつうにモテると思うよ! 逆に日本人がアメリカの高校行ったら大変やろな。カーストに組み込まれすらしないだろうね! ジェイクは最底辺の位置づけにもかかわらず女の子にバンバンアタック! その辺の御構い無しさはさすが米! 中間のアンナは日本においてはトップレベルでしょう。普通にすごく可愛いし、若干メンヘラ傾向あるにしても、日本の陰湿な病み具合とは格が違う。純粋に悩んで脱力してるだけくらいの感じやもん。もちろん本人は死ぬほど苦しんやと思うけど。バスケのコーリンはバスケが神ってだけで、アゴがスゴいし、全然イケメンじゃないし、体もゆるいし。うーん。やっぱアスリートの占める地位は高いんやな。これは日本でも似た傾向。女王様のメガンはぜんぜん可愛くない…ってか雰囲気オバハン風やし、性格悪いし、日本にはこんな感じのあからさまビッチってなかなかいないよね。隠れビッチは多いけどね。で、当然みんな高校生なんで、それぞれに悩みがあるのです。それぞれに将来、恋愛、友人関係、家族、などなどで苦しんでる。日本ほど同調圧力があるわけじゃないけど、ちょっと質の異なるピアプレッシャーがあって、みんな他人にどう見られるかを死ぬほど意識してる。その姿がねー、懐かしいし、愛おしいし、めんどくせぇし、たまらない気持ちにさせられます。で、それぞれが自分の苦しみに耐えて迎えるクライマックスは、うわーーーー!!!ってなり過ぎて、わんわん声あげて泣きました。めちゃくちゃ込み上げてくる!!! けど、最後の最後まで悲しいのは、やっぱ人間関係のビックリするくらいの希薄さ。これは日米変わらずですね。場所が変わるたびに関係する人びとが変わり、一生いっしょに根づく関係なんてない。親子であっても、直接愛し合えるのは高校まで。そこからは離れ離れ。時々顔合わせるくらい。よくそんなうすい関係ばっかで虚しくならないなと不思議でしょうがない。大人たちは、人生なんてそんなもんだよって諦めてるんだね。そりゃ親から離れたくなるわ。けど、結局最後は自分たちも同じようなとこに収まっちまう。この人生の大問題が、メインテーマとはちょっと離れたところで、こっそりぼんやり大きく揺らめいていて、すごい気分になりました。人類はその解決法をはやく獲得しなければいけないよ! だんだんと、まるで何もかもなかったかのように暮らさなければならなくなるその前に!
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