tak

RAMPO(奥山バージョン)のtakのレビュー・感想・評価

RAMPO(奥山バージョン)(1994年製作の映画)
3.4
奥山和由氏はホームドラマや人情喜劇中心のイメージが強い松竹映画に波乱を起こした。80年代から90年代にかけて、外部プロダクションと組んだ作品、新人監督を多数起用し、これまでにないジャンルの作品を手がけた。これらが話題を呼び、ヒットにもつながった。

松竹映画百年記念作品として製作された映画「RAMPO」。黛りんたろう監督が既に撮影していた作品だったが、奥山氏は「これは商業映画ではない!」と言って、自らメガホンを取り大部分を撮り直し。そして完成したのが奥山ヴァージョンの「RAMPO」である。作家性と娯楽の対立とも言えるのか。

奥山ヴァージョンは見世物である。とにかく視覚的にも楽しいし、映画でしか味わえない興奮がある。一部をアニメーション化、有名人のカメオ出演、大胆な性描写、幻想的な特撮。スティーブン・ソダーバーグ監督の「KAFKA迷宮の悪夢」を意識したとも言われている。

スクリーンの上に大人のワンダーランドが築かれたような楽しさがある。僕もこの作風は嫌いじゃないし、映像に酔わされた。だが、映画が示すエンターテイメントって、ここまでやらないといけないのかな、とも思った。映像のテーマパーク的な見世物を提供しないと、集客につながらないのだろうか。20世紀の初めにジョルジュ・メリエスが「月世界旅行」を発表して以来、見たことのないものを観客はスクリーンの上に求める。そんな商業映画の今を示したのが、このヴァージョンであるように思った。
tak

tak