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真実の行方のRenのレビュー・感想・評価

真実の行方(1996年製作の映画)
4.0
本編の大筋自体はさして目新しいものではないのですが、そこに容疑者である挙動不審な若者・アーロンというエッセンスが加わることで一気に面白さを引き上げている映画です。逆に彼の設定や演技がぐだぐだだったらこの映画は一気にいけ好かない方向へ転がるところですが、そこを完璧にクリアしており、彼の一挙手一投足から目が離せませんでした。エドワード・ノートンの、これでアカデミー助演男優賞獲れないのかと思ってしまうほどの好演・怪演は素晴らしいの一言。

映画的快楽だけでなく社会性のあるメッセージも孕んでおり、「刑罰と精神障害」に関して考えさせられます。加害者が責任能力無しで無罪となった犯罪は現実のニュースでも見てきましたが、その居た堪れなさや仕方無さ、本当はどうすべきなんだろうかという部分について考えざるを得ない。
一般に傑作とされている今作、しかも法廷映画、特に何も起こらず終わる訳がありません。ラストの『ユージュアル・サスペクツ』に引けをとらない切れ味の鋭さ。オチが読めたと言う人も少なくなさそうですが、多くを語らずに強烈なインパクトを植え付ける名場面でした。

邦題は渋いしジャケットも暗く、裁判ものだし少し長めなので、とっかかりにくい部分はあるかもしれません。ただ、ミステリーやサスペンスが好きなら絶対に観て損はない映画です。
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