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バニー・レークは行方不明のtjZeroのレビュー・感想・評価

バニー・レークは行方不明(1965年製作の映画)
4.7
アニー・レーク(キャロル・リンレー)は、ロンドンの兄スティーヴン(キーア・デュリア)を頼ってアメリカから渡英するが、引越当日、保育園に預けた4歳の娘バニーが行方不明になってしまう…。

いきなり、タイトルバックからして魅力的。
黒い画面の一部がビリビリと引き裂かれると、タイトルやキャストが白地に現れる。
紙をちぎる仕草が子どものいたずらを思わせて題材に合っているし、ギザギザの断面が不穏でサスペンスも感じさせる。
そして最後のクレジット”監督・オットー・プレミンジャー”の白地は物語のキー・アイテムである人形の形に引きちぎられる…という粋なデザイン。

この秀逸な意匠の作り手はもしかして…とスタッフの表記を探したらやっぱりでした。
タイトルデザインbyソール・バス。
『めまい』、『北北西に進路を取れ』、『サイコ』…というアルフレッド・ヒッチコック監督のあざやかなタイトル・デザインを担当。
『サイコ』では、あの有名なシャワー・シーンの絵コンテも手掛けた才人ぶり。
他にもビリー・ワイルダーの『七年目の浮気』、ロバート・ワイズの『ウエスト・サイド物語』、マーティン・スコセッシの『グッドフェローズ』など、名作のタイトルバックを多数、手掛けています。

タイトルだけでなく、作品本体の方も、そうした名作群に負けず劣らずの出来映えでした。

行方不明になったバニーの持ち物も紛失し、彼女の写真が無く、姿を見た大人もいないため、捜査を担当するニューハウス警視(ローレンス・オリヴィエ)が彼女の実在を疑い始めてからがグッと面白くなります。

父を早くに亡くし、母も精神を患っていたため、アニーは幼少の頃から空想の友だちに”バニー”と名付けていた…というエピソードが兄のスティーヴンから明かされ、疑惑は一層深まります。
”バニーは本当に実在するのか?”
観客も警視と疑問を共有しながら、物語に没入していきます。

そして判明する、驚愕の真相。
観ていて自分は、思わず呟いてしまいました。
「おもしれ~映画だなあ」
もしかしたら、客観的に長々と分析したレビュー(↑)よりも、この主観的なひとりごとの方が本作の魅力をクッキリと表しているのかもしれません。
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