KotaroKinoshita

鬼が来た!のKotaroKinoshitaのレビュー・感想・評価

鬼が来た!(2000年製作の映画)
5.0
生涯ベストかどうかは死ぬまで分からないけど、「映画に殺される!」と「映画に生かされた!」を同時に感じた映画は後にも先にもこの作品くらい。

日本と中国、歴史と神話、事実と虚偽、喜劇と悲劇、生と死、人と鬼・・・主人公とともにあらゆる境界を綱渡りしていくうちに、観客はいつの間にか映画と現実との境界に立たされる。
轟音で鳴り響く軍艦マーチによって我々は映画の奈落に蹴落とされるだろう。しかし"達人"の演出により映画が斬り殺されることで、我々は笑って現実に戻ることができるのである。

2010年に渋谷シネマ・アンジェリカでのリバイバル上映を観たのですが、その時に観客が5人くらいしかいなくて、しかもその数ヶ月後にアンジェリカが閉館してしまったため、その鑑賞体験自体がマボロシだったのではと後に戦慄させられました。