フェイフォン戸部

鬼が来た!のフェイフォン戸部のレビュー・感想・評価

鬼が来た!(2000年製作の映画)
3.5
途中までは笑って観れてたのに…
酒塚隊長怖い…狂ってやがる……


1945年、日本軍占領下の中国の寒村。
貧しいながらも比較的穏やかに暮らしてたマー。急に「5日間預かっといてくれ」と日本軍軍曹の花屋と中国人の通訳が入った麻袋押し付けられて、一生懸命食事と下の世話もして。よく頑張ったよマー。

5日間のはずなのに引き取りに来てくれなくて、半年間も世話したマー。
引き取りにくるはずだった人は死んじゃったのかな。

自分は寒い思いしてるのに、捕虜の花屋と通訳に布団をぐるぐる巻きにしてあげるの。良いやつじゃん…

最初こそ捕虜は恥だから死ぬ死ぬ〜なんて言ってた花屋も半年間世話されて、徐々にマーとの間に奇妙な友情が芽生えたりして。

花屋を日本軍に戻せば、褒美として穀物二台分もらえる契約を交わし、日本軍に花屋を帰すマー。
花屋も「戻ってまいりました〜!」(←可愛い)と元気に帰ってきたのに、待っていたのは凄惨なリンチ。

ここらへんから笑えなくなってくる

日本の故郷には戦死通知が届いていて、立派にお国のために死んだと讃えられてる花屋。それなのに生きて帰ってきちゃうし捕虜だったもんだから恥さらしだなんて感じで殴られるわ蹴られるわ。かわいそう。

なんだかんだで契約は契約だと言ってマーは褒美の穀物を貰い、日本軍と共に村に戻って宴が始まる。

最初は村人の中国人と日本軍で仲良く呑んでいたのに急に酒塚隊長が場を乱し、調子こいて隊長に無礼な態度を取る村人を衝動的に殺す花屋。
そこから、日本軍による村人の大虐殺が開始。マーはその場にいなかったから助かったが、それ以外全員殺される。つら…。

しかも、この虐殺の前に既に日本の敗戦してて、それを隊長は知ってた上で村人を殺させた。うわ…。人の心がない。

日本軍は捕虜になり武器を放棄、中国は連合軍の統治下に。
村を破壊され、家族を殺されたマーは復讐に燃え、日本軍を何人も殺害。
前半はめちゃくちゃ良いやつだったのに。
復讐に走るのは仕方ない。悪くないよ。

マーは連合軍に捕まり、公開処刑されることに。そして執行人として花屋が選ばれ、マーの首を切り落とす花屋。

半年間下の世話までしてくれたマーを殺す花屋。それを観てる観衆は笑ってるし。同胞だろ?怖い。

最後の最後にここまで胸糞悪くなるとは。
タイトルの「鬼が来た」の鬼は、
「優しかったが復讐のため人を殺すようになったマー」
「マーに恩を感じて礼をしようとしたが、隊長に脅されて村人を殺す花屋」
「隊長の命令で村人を虐殺する日本兵」
「同胞であるはずのマーの処刑を見て笑う観衆」
のことなのだと。


静かなるドンの10と11の間で「鬼が来た」を撮影してた(はず)。10と11を比べると髪型も違うし、顔の作りというか表情も全然違う。

これを機に静かなるドン見返すと面白いかもなあ。