とらキチ

仁義なき戦い 広島死闘篇のとらキチのレビュー・感想・評価

仁義なき戦い 広島死闘篇(1973年製作の映画)
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35mmフィルム上映にて鑑賞。
図らずも千葉真一さんの追悼上映となってしまったのがとても残念。
強烈!最凶最高過ぎた千葉チャン演じる大友!あまりに下品過ぎてココに書く事も憚れるけど、あの名セリフこそ“声に出して読みたい日本語”No.1!前作ではそれほどでもなかった川谷拓三へのリンチシリーズも今作から。あの拓ボンへ狙いを定める千葉チャンの目はイッちゃってた!
山中正治の哀しき愛と破滅の物語。北大路欣也が演じているだけあって、若干のヒーロー感がどうしても漂ってしまう。それはやっぱり御曹司としての飛び切りの育ちの良さからなんだろうなぁ。でも役者として、あの手の役をぜひとも演じたかった気持ちもわかる。相手役の梶芽衣子の時代を超えた美しさ!メチャクチャキレイ!でもこのお方のスゴイところは、現在も当時に負けないくらい美しいこと!
カチコミ、出入りシーンでの集団の動きの素晴らしいダイナミックさ。志賀勝、福本清三、片桐竜次の隠れ家に山中が乗り込んでタマを殺るシーンのラストカット、3人の息があるかを確かめる俯瞰からのショットの美しさ。そして山中が警官に追われるクライマックスシーンにおける夜間撮影のスゴさ。高感度フィルムを使用し、映像の質感が変わっていて、その分余計に緊張感を煽っているところ。それらが特に惹かれる。
役者陣も、八名信夫がまだこの時代は鉄砲玉扱いだったりとか、ナレーターが変わっちゃったのね…と思っていた小池朝雄が、ガッツリ本編で組幹部だったりとか、小松方正のうさんくささとか、いろいろ言及したい事ばかりですが、1番は、あまりにも仕事が早くて有能すぎる若衆頭の成田三樹夫!いろんな意味でカッコイイ&ヤバくて、最も敵に回してはいけないタイプの人だった!
我らが文太アニキは、今作では完全に狂言廻しの役割。それでも金子信雄とのやり取りの安定感にはニヤリとした。それに例の犬のくだりも、不謹慎ながら笑ってしまった。
名古屋での35mmフィルム上映は、とりあえずコレで終わりっぽいんですけど、東京の東映の劇場では他の作品を上映しているみたいなので、ぜひまたお願いしたいです!
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