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仁義なき戦い 広島死闘篇のKKMXのレビュー・感想・評価

仁義なき戦い 広島死闘篇(1973年製作の映画)
3.7
 本作はシリーズ主人公・広能がモロに脇役なので、2というより外伝のような作品です。主役はヤング北大路欣也演じる山中。行く場所のない復員兵の若者・山中がヤクザになり、幹部たちの思惑に翻弄されて使い捨てられていく物語が軸になっています。そこに山中と恋仲になる靖子や、超絶凶悪な狂犬・大友勝利が絡んで結構ウエットな物語を形成していきます。


 個人的には1の方が圧倒的に好きですね。本作も完成度は高いのですが、本作の方がバイオレンスをコッテリ長々と撮っているので逆にキレ味が落ちているように感じました。
 あと、山中のキャラがあんまり好きになれないんですよ。ヤング北大路の顔立ちが今ひとつハマらないのも原因かも。山中が騙され易すぎるのも好みではない。広能みたいに葛藤して仁義を通すタイプではなく、騙されて直情的に動く感じがバカっぽくってねぇ…
 ラブロマンスもある湿っぽい造りもややハマらず。登場人物の理想や苦悩が描かれるとテンション上がるのですが、山中の悩みは視野が狭くスケール小さい。若杉とか坂井みたいな話の方が好きですね。

 一方で、サニー千葉が演じた大友勝利はキてますね!狂犬にもほどがある。常に股間をボリボリ掻いては手当たり次第暴力を撒き散らす大友は頭のネジが飛んでます!『グッドフェローズ』のジョー・ペシに通じる、登場するだけで「さぁ盛り上がってまいりました」となる素晴らしいキャラ。敵対する組の若手を爆笑しながら銃殺するシーンはヤバすぎる!グラサンを外すと人の良さそうな顔になっちゃうのは玉にキズですが。
 そして、この手の個人レベルでは最狂だけど大極的に見れば小物のキャラは、組織的なレベルでは大成しないのもリアル。大友の取り巻きが全員バカっぽいのも痛々しい。謎の記者会見してハジキを見せびらかしたりして、バカすぎますね。ヤクザって頭の良さがめちゃくちゃ重要な職業だと思います。凶悪さは取引のカードのひとつとして利用すれば強いですが、ただ暴れ散らすだけでは換金率が低い上に先が無いように感じました。

 そして!本作最高キャラは村岡組幹部の松永!演じるのはインテリ怪優成田三樹夫です。いや〜スーパーカッコいい!すっかりミキティの虜ですよ。俺はほとんど男優に関心ないのですが、珍しく好きになりました。幹部なのに搾取に向かってない感じも好感持てます。3作目にも出てくるとのことなので期待ですね〜!Tシャツ購入しよう!

 主役・広能は自分の組を立ち上げましたが、スクラップ工場の用心棒として貧乏生活を余儀なくされていました。この人本当にヤクザに向いとらんのう!だが、そこがいい😎
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