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ちづるのKengoTerazonoのレビュー・感想・評価

ちづる(2011年製作の映画)
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とても好きなドキュメンタリーだった。監督の思い入れが強い分、作品も物語性を帯びていて、だけれどその物語が利己的ではなく、とても温かいものだったと感じた。客体は常にキャメラを意識するから、ドキュメンタリーにおいて自然に見えることはあっても自然であることはないと思う。だが、今回のドキュメンタリーに関しては、少し違うと感じた。家族の一員である監督が、家族の一員として、家族と向き合い、関わっていく様子を彼の一人称視点でずっと観ている気がした。家族が撮影しているからこそ、公的でも、私的でもない、リアルな人物描写が可能になったのだと思う。監督の家族に対する向き合い方は尊敬する。自分が母親とぶつかる場面をどういう気持ちで編集したのだろうか。色々なことを考え、感じ、苦悩しながら作品へと昇華させたのだろう。それを思うだけで少しだけ泣きそうになってしまう。
また、『ちづる』で描かれている家族が私の家族と似ていた。私の妹は障害を抱えているわけではないが、ちづるのようにこだわりが強いところや、激昂するところがある。なので、母親とちづるの喧嘩のシーンでは少し懐かしい思いで鑑賞していた。母親と監督の口論のシーンも、自分と母親の関係性と、思わず重ね合わせてしまった。
音楽が入る箇所がある。あそこは、ある種の監督のノスタルジーなのではないかと感じた。母親との喧嘩の最後は、事故で亡くなった父親に言及しており、その次のショットではありし日の家族写真が映る。それに続く自動販売機へ行くシーンで音楽がかかるわけだが、現在と思い出が交差するような、不思議な印象を覚えた。
説明を文字のみで行うところは確かに印象的であった。とても主観的である種の「思い出ビデオ」のようなノスタルジーがあるからこそ、それから逃れようとしているのではないかと感じた。文字のみだからといって客観的になったわけではないが、文字のみで説明することによって、作品全体が過度にナルシスティックなものにならなかったのではないかと思う。
極限まで個にこだわったからこそ、普遍的な作品になったのではないかと感じた。

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