アキラナウェイ

ヴィデオドロームのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

ヴィデオドローム(1982年製作の映画)
3.3
ビデオテープ世代です。

120分テープに3倍速で金ローとかで3本の作品を1本のテープにぶっ込んだりしていたなぁ(遠い目)。

CGのなかった時代、ハンドメイド感満載の特殊メイクやらクリーチャーやらグロ映像やらが素晴らしい、デヴィッド・クローネンバーグ監督の代表作。

小さなケーブルTV局の社長を務めるマックス・レン(ジェームズ・ウッズ)は、放送の目玉となる刺激的な映像を日々探し求めていた。ある日、生々しい拷問や殺人の様子を撮影した「ヴィデオドローム」という海賊番組の存在を知り、彼はその魅力に取り憑かれてしまう—— 。

もはや、ケーブルテレビすらも、ちょっと古いよね。あ、もうテレビが古いのか。

過激なスナッフ映像の虜になっていく男。

後半になればなる程、ストーリーがよくわからなくなっていくんだが。ビデオ人間だとか新人間だとか。何を言っておられるのデスか?

幻覚と現実の狭間を描いているのだから、多少不可解なのは構わないが、ちょっと説明不足だよぅ。

しかしだ!!

ストーリーは意味不明でも、映像だけは斬新過ぎるぜクローネンバーグ!!

テレビやビデオテープが膨らむ視覚効果が素晴らしい。ブラウン管の画面も膨らみ、そこに惹き寄せられる様にマックスが顔を埋めるシーンがお見事。腹の中に手を弄り入れるシーンもサイコー。

無機物を有機物の様に生々しく描いたという意味では革新的。

ビデオをネット社会に置き換えて考えれば、過激な映像に惹き込まれるのは現代でも通用する普遍的なテーマでもあるし、VRみたいなヘッドセット(めっちゃデカい)で幻覚を見る描写は、時代を先取っている感もある。

銃で撃たれた男の顔面が裂け、腹から贓物が吹き出し、舌を痙攣させているグロシーンとか、安定のクローネンバーグ節が堪能出来る。

難解なストーリーの所為で、製作費の半分も回収出来なかったのも納得。