Matsuzoh

モンスターのMatsuzohのレビュー・感想・評価

モンスター(2003年製作の映画)
4.5
「エンドロールで流れる曲のチョイスにしびれた部門」優勝です

切ない話やなあ・・・と思ってるところに、その曲のイントロ、涙あふれました
イントロだけでもわかる、いろいろなところで使われている超有名曲ですが、ここでは全然違う響き方をする
通常、人の背中を押してくれるような、ポジティブな曲としてとらえられることが多いのに、ここでも主人公の背中を押すのだけれど、向かう先は最悪の方向性

パートナーとの出会いが、彼女を娼婦から脱け出そうという方向へ押し出そうとするも、具体的に脱け出す術は2人には何もないの等しく、そこに最悪の出会いが引き金となって、彼女の心は壊れ、モンスターへと化していく
そんな彼女に、ピュアすぎるパートナーは依存し、共依存の2人はずぶずぶ堕ちていく・・・

語られる彼女の生い立ちは凄惨で、同情心も呼び覚まされる
彼女の言動にもときどき共感のかけらを感じるところもあって、この辺りがうまいと思う
彼女に違う方向性へと導く何かがうまく機能しないと、またどこかでモンスターは生まれてしまうだろう・・・

最後に出会う男性なんかは、タイミングさえ違えば、違う方向へと押してくれたかもしれないのに、すべては遅すぎた

けして楽しい気分になる作品ではないし、いろいろと考えさせられ後を引くけれど、不思議と重さだけが残ったわけではない気がするのはバランス感覚に優れた作品からだろうか

見応え大いにありました

この作品以来14年ぶりの「ワンダーウーマン」で女性監督史上最高ヒットを飛ばしたパティジェンキンスは今後も注目。

主演のシャーリーズ・セロンは直近に観た「スウィート・ノベンバー」ではむしろガリガリに仕上げてたのに、この作品では13㎏増量で、見事に別人でした。アカデミー主演女優賞も納得

しかしパートナー役のクリスティナ・リッチの出演作リストを眺めていたら、’14年に殺人鬼を演じる主演作があって、全然違う原題に「モンスター」という邦題がついてて失笑・・・🤪
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