Dick

わが青春のフロレンスのDickのレビュー・感想・評価

わが青春のフロレンス(1970年製作の映画)
4.3
★2017.05.20名古屋シネマテークで鑑賞

❶マッチング:消化良好。
➋邦題から、二十世紀初頭のフロレンス(フィレンツェ)を舞台にした甘美なラブストーリーか?と勝手に想像していたが、半分違っていた。
➌原題は「Metello/メテロ(主人公の名)」。幼い時、貧しい労働者階級の両親を亡くした青年メテロが、故郷のフロレンスで煉瓦工として働く中で、社会の矛盾を実感し、社会主義を教わり、ストや投獄の苦しみを乗り越え、階級闘争のリーダーに育ってゆく。その間、イケメンゆえの誘惑や恋も体験するという、硬い社会派ドラマにラブロマンスをミックスして、エンタ性を持たせた内容になっている。
❹メインとなるのは1880年のフロレンス。資本家の搾取に対し、改善を求めてストを打つ労働者の組合。資本家は賃金の支払いを停止して、兵糧攻めを行う。労働者側は妻が内職をするなどして支えるが、長くはもたない。他の組合に支援を求めるが直ぐには間に合わない。資本家は、組合の幹部を逮捕したり、甘い餌を与えて組合員を引き抜きしたりする。そして、軍隊が介入する一触即発の非情事態となる・・・。
❺正義感に燃える主人公、25歳のメテロは、商売女の誘いには乗らないが、金持ちの美人妻の魅力には負ける。人間の弱点だ。
❻タイトルロールを演じたのは、カンツォーネ歌手として人気が出だしたマッシモ・ラニエリ(19)。彼に絡む美女がオッタヴィア・ピッコロ(20)とティナ・オーモン(23)。彼等を支えるのが、フランク・ウォルフ(41)、アドルフォ・チェリ(47)、ルチア・ボゼー (38)等のベテラン陣。そして、心に残る哀愁の音楽が絶好調のエンニオ・モリコーネ(41)。
❼さすがはイタリア。手堅いマウロ・ボロニーニ監督(47)。大いに楽しませてもらいましたよ。
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