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わが青春のフロレンスの一人旅のレビュー・感想・評価

わが青春のフロレンス(1970年製作の映画)
3.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
マウロ・ボロニーニ監督作。

20世紀初頭のフィレンツェを舞台に、労働闘争に身を投じる青年の姿を描いたドラマ。

『狂った夜』(1959)のマウロ・ボロニーニ監督による青春+社会派ドラマの佳作で、フィレンツェの建設現場で働く青年マテッロが不当な賃金労働を是正すべく雇い主の資本家に対して仕事仲間と抗議・ストライキを決行するその顛末を、彼が出逢う3人の女性との恋愛や結婚生活の有り様を織り交ぜながら、古都フィレンツェの歴史的景観の中に映し出しています。

資本家による労働者搾取という不当な現実を変えるために行動を起こす主人公の“社会主義への目覚めとその挫折”を描いた社会派の一面のある作品ですが、同時に妻子ある身でありながら隣人の美女と野外で情事を交わすという主人公の浮気エピソードまで取り入れられた、世間的には真面目に見えてプライベートは全然真面目でない青年のお話です。

作劇は淡々としており演出的にも杜撰な部分が見られますが、物語の結末と冒頭が時代と世代を越えて結びついてゆくクライマックスは感動的です。そして、エンニオ・モリコーネが提供した叙情的メロディが物語に品格を与えています。
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