千年女優

バベルの千年女優のレビュー・感想・評価

バベル(2006年製作の映画)
3.0
夫婦関係を修復すべく子供を置いてモロッコ旅行へ訪れたアメリカ人夫妻。母を亡くし関係が冷え込む日本に住むろう者の女子高生と父。父が手に入れたライフルを持ち出して危険な遊びに興じるモロッコの兄弟。故郷メキシコでの息子の結婚式を待ちわびるアメリカへ出稼ぎ中の家政婦。一本の銃が彼らの運命を繫げる様を描いた群像劇です。

「塔建設で神に迫ろうとした人類を神が諫め、意志疎通できないよう異なる言語を与えた」というバベルの塔の神話をモチーフに、世界各地のコミュニケーションの断絶を描くメキシコ人監督アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督作品で、壮大なテーマから様々な映画賞で注目され、菊地凛子が一躍世界に名を広めることとなりました。

ネットワーク普及に伴うグローバリゼーションにより人と人の距離が縮まる現代であっても母語が異なる、または母語が同じでも伝達方法が異なれば不和が起こる主題を国際規模のスケールで描いたタイトル通りの雲をも掴む物語ですが、各エピソードの問題がコミュニケーション以前の話のように感じられ、神話覆せず天には届かぬ一作です。
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