天豆てんまめ

あの空をおぼえてるの天豆てんまめのレビュー・感想・評価

あの空をおぼえてる(2008年製作の映画)
3.4
交通事故で妹が死んで、兄の自分だけが助かった自責の念を抱える少年の気持ちが痛くて、悲しくて、泣ける。

大人がちょっと目を離した隙に、、、ここで起こる悲劇は現に存在する。
子供たちを守れなかった親たちの哀しみも重く、生き残った者の辛さ。
何もする気にならない生きる力を失った父親。
哀しみを抑えて夫と息子のために明るく振る舞う母親。
あまりの悲劇に、視線さえも合わすことができない。

親に心を閉ざした少年がカウンセラーに、他人だから言えた心の内奥を露わにし、泣きじゃくる姿は胸を詰まらせる。

青い空と雲。小さな女の子が跳んでいる。その少年の心象風景もまた、
不思議でありながら、哀しみと共に希望を宿す。

地味な作品でひっそり当時公開されたが、誠実に作られた家族の再生の物語だと思った。悲劇から少しでも立ち直るために、人はどうしたら良いのだろう。そんなヒントがあるような気がした。