はやひ

ベルンの奇蹟のはやひのレビュー・感想・評価

ベルンの奇蹟(2003年製作の映画)
3.8
評1.8/2.5
好2.0/2.5

すごいすごい!
サッカー映画の中でもサッカーシーンの上手さと再現度が際立つ映画。
第二次世界大戦のショックからもがきながらも前進しようとするドイツ国民を、1954年スイスW杯でのドイツの躍進を通して描く。
何と言っても主人公父子の成長は胸に響く。PTSD気味のDV父の表情は劣等感に病めるドイツ国民を象徴してるし、息子のあのラジオのスイッチを切るシーン!ただのサッカー万歳映画じゃないなぁと思わせる。
ラストの試合のシーン、実際の映像見たらまんまその通りでびっくり。ハンガリーの2点目、あまりにもダサいキーパーのミスで笑うわ

特典映像が充実してて美味しい。

サッカー映画にあるのは、サッカーで人間関係や感情が表出するという前提だ。それは試合シーンだけでなく、いろいろなところに現れる。この映画では、父親が一人で空き地でサッカーをする場面や、W杯の実況の内容がそのまま子供達のサッカーと重なっている場面や、決勝を観るためにドイツの街から人が消えている場面などだ。ベネズエラ映画「黙して契れ」の1on1のシーンもそうだったが、サッカーは社会のどの層、どの場所でも存在できるスポーツであり、そこにはある種の普遍的な価値観が存在するように思う。だからこそ我々はサッカーを通じて感情を共有し、人を理解することができる。「ベルンの奇跡」や「ペレ」はそういう深いところでの感動を得られる映画だと思う。
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