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袋小路のsmokeのレビュー・感想・評価

袋小路(1965年製作の映画)
4.5
社会から断絶し城に隠居した夫妻に行きずりの強盗が入り込むという話。

ブラックコメディ映画の金字塔である本作。本作は服従者特有の反発するより服従する方を好むというマゾ的意志、換言すると"力への意志"を人間の本性と捉えている。監督の人間感覚が如何に鬱屈しているかが伝わってくる映画でもある(笑)。監督は不条理を基調とさせた社会派の映画を得意としているが、恐らくこれは収容所から抜け出したユダヤ人である自身の被虐待者としての性質を色濃く映画にも投影させているのだろう。
ポランスキーの映画は襲いかかる力に無力であるよう主人公が設定されていることが多い。そしてそのまま打開策が状況からは浮かばず絶望に結局帰着させてしまうという単調さがあるが、暴力に立ち向かうよりそれに屈服する方が如何に精神に安堵を与えるのかという人間の哀れな核心は本作でも逃していない。
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