バミューダサイキックビーム

袋小路のバミューダサイキックビームのレビュー・感想・評価

袋小路(1965年製作の映画)
3.7
「反撥」に続きサイコな不条理劇。
監督は今流行りのハリウッドセクハラ問題の先駆者ポランスキー。
ホームインベージョン系のこれを撮影したのがその後マンソンファミリーに実際に家宅侵入され妻を殺害されたポランスキー監督だというから本格的に笑えない。

夜になると潮が満ち陸地から隔離される島の古城が舞台。そんな淀んだ舞台で若妻、旦那、闖入者達の人間心理の悪と呼ぶには少し足りない灰色の部分が見え隠れする。

武器は有るが殺意の感じられ無い闖入者、城の主人ながら全く覇気が無い旦那、そしてイマイチ自主性を感じない男達の間を気紛れにフワフワとしかし能動的に往き来する若妻のドラマが色々なアクシデントに左右され様々に変化していく。
モノクロで映える古城のディテールの細かさの一方で登場人物が絞られ少ないせいか情報量が多い割には一気に見終われた。
しかし、周囲の凪いだ海の様な人間の表と裏腹な水面下を見透かした監督のドライな視座が原因の後味はかなり印象に残る。

静かな生活に次第に満ちていく不協和音を象徴するような傷付いたレコードの音もナイス。

数々のムカつく悪戯とネタバレをハイレベルにこなしたガキが一番の脅威だったかもしれん(;´д`)。