Ayumi

(500)日のサマーのAyumiのレビュー・感想・評価

(500)日のサマー(2009年製作の映画)
4.0

映画はトムの視点に立っていて、サマーの感情はわかりやすく描かれていない。だから「ひどい女だ」という評価をされがちだけど、よく見るとサマーの感情がきちんと理解できるようになっている。

サマーはたぶん20代前半。「運命を信じていない」のも「誰かの所有物になりたくない」というのも当然の感情だ。トムは嫌われたくないので、そのサマーの立場を理解しているふりをしてしまう。サマーの感情が動くのは、トムがバーにいた男を殴ったとき。サマーはひどいことを言うが、仲直りするためにトムのアパートを訪れる。

「卒業」でサマーが号泣するのは、自分が運命的な恋愛に憧れていることに気づくからだと思う。なのになぐさめるトムは「ただの映画だよ」と言ってしまう。その後に寄ったレコード店で冷たい態度をとるサマーだが、ここで決定的に心が離れてしまう。

運命を信じていなかったサマーが、夫との出会いについて「もし映画を見に行っていたら?店に着くのが10分遅れていたら?」と語っているのが皮肉で面白い。もしトムが「卒業」を見て一緒に泣いていたら?サマーの婚約を知って結婚を止めていたら? そのタイミングを逃してしまったトムは、やはりright personではなかったのだと思う。
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