亘

(500)日のサマーの亘のレビュー・感想・評価

(500)日のサマー(2009年製作の映画)
3.7
【恋の予感から終わりまで】
トムはカードのコピーライター。地味で目立たず恋人もいなかった。ある日会社に秘書としてサマーがやってくる。彼女は美人で大体の男性が一度は惹かれる女性。音楽の趣味があったことからトムはサマーに接近する。

トムが初めてサマーを見た日(1日目)から、彼女を忘れ去り新たな恋に踏み出す日(500日目)までのトムの変化を描く作品。全体的にトムとサマーがうまくいってた前半と2人があまりうまくいかなくなった後半を交互に見せていてある意味では恋の残酷さを見せているようにも見えた。特にトムはサマーとの関係に一喜一憂しがちでサマーとの関係がうまくいってると元気だしうまくいかないと落ち込む。一方のサマーは「恋人はいらない」と話し、トムとの関係を単なる親友としてとらえているよう。周囲から見るとトムとサマーはカップルだし、トム自身付き合ってるつもりなのに、サマーにとっては付き合ってるつもりではないのだ。

恋の予感
1日目トムは可愛いサマーに一目で恋した。とはいえ彼自身地味だし恋愛に奥手だから声をかけづらい。それにサマーは人気である。だから彼にとってサマーと付き合うことは夢のまた夢だったけど偶然好きなバンドが一緒で遂に足掛かりを得る。そこから浮つく彼の姿はまるで中学生とか高校生のようでほほえましい。31日目には社内でキスをしてついにトムサマーと付き合い始める。

前半と後半の対照
キスの3日後34日目。2人はIKEAで夫婦ごっこをする。でも282日目にはIKEAでトムがおどけてもサマーは無視。87日目にはシャワーでおどけてセックスしたのに303日目には仲が険悪になり会わなくなっている。191日目には2人で映画デートしたのに314日目には1人で映画を見ている。そして400日台に入るとトム自身荒み始めて会社も辞めてしまうし1人で生産性のない日々を過ごす。しかも「恋はしない」と宣言していたサマーが婚約してしまうし弱り目に祟り目。

前半のトムは恋が終わるはずないと思っているからこそ楽しそうにしているけど、観客からすれば恋の終盤も見せられているからこそ前半部分をみてもどこか寂しく思ってしまうし、後半のトムの様子が余計に悲しく思える。400日代台の荒み方もすごいけど、1人で「卒業」を見るのもきっと荒んでアンニュイな彼の心情を表しているように感じた。

トムの再起
会社を辞めてしまったトムはこの機会に大学時代の専門である建築を再び志し始める。456日目から彼は図面を書き続け会社に送りまくる。ただ一方で488日目に好きな公園に行くとサマーに再会する。トムの方はバツが悪いようだったけどサマーの方はあまり気にせず声をかける。その12日後500日目彼は建築士としての採用面接を受けに行き、新たな女性オータムと出会う。サマーとの500日は終わり新たな1日目が始まったのだった。

荒んだ日々が終わりトムはようやく前に進み始めた。きっとサマーへの未練や怒りを全て建築に注ぎ込んだのだろう。456-476日まで没頭した結果が面接なのだろうと思う。ただそんな状況で彼はサマーに再会し、あれほど「恋はしない」といってたサマーが結婚の理由がここで明らかになる。ただ「タイミングが悪かった」というのはトムにとっては理解できたのかわからない。でも最後のオータムとの出会いこそ、その答えかもしれない。オータムとの出会いはまさに偶然で、彼はそのタイミングを逃さずに彼女をコーヒーに誘った。ようやくトムが変わったのだ。この出会いで500日がリセットされるのは面白かったけど、なにより女性の名前がオータムであるのも秀逸。サマーの次はオータム、その次の女性はウインターなのかと考えてしまう。

印象に残ったシーン:トムとサマーがIKEAデートするシーン。トムがオータムに出会うシーン。

余談
今作のストーリーは、脚本の共同執筆者の1人スコット・ノイスタッター氏の学生時代の恋愛をベースにしているそうです。