JUN

(500)日のサマーのJUNのレビュー・感想・評価

(500)日のサマー(2009年製作の映画)
3.7
Blu-ray持っていたのですが、かれこれ半年以上放置しておりまして、やっっと鑑賞です。
たぶんちゃんとではないですが、一度のらりくらりと観たような気もするのですが、ほぼ初鑑賞でした…!

流石は、マーク・ウェブ監督。彼の描くティーンのような甘酸っぱさは、どこから漂ってくるのでしょうか。セリフか、演出か、それともキャラクターなのか…この映画はグリーティングカード会社で働く一人の冴えない男性と、ある日その会社に来た輝くような女性の、"ラブではない"ストーリー。若さが光るだとか、初々しいだとか、そういったことは決してないのですが、何故か、学生の一夏の思い出をみている気分になりました。

この映画、沢山の映画好きの方々が「憧れる出逢い方」や「好きな恋愛映画」、「カップルにおすすめの恋愛映画」として紹介されているのを見かけるのですが、結論から言ってしまいますと、個人的には、そう紹介されてしまうと、すこし期待外れというか、主旨が違うのかな?と感じてしまいました。(Filmarksのあらすじでもそんな感じで書いてありますね!)

サントラもすごく良くて、嬉しい時、悲しい時、ギクシャクしてる時、緊張している時。いろんな瞬間が画面いっぱい、音いっぱいに広がっていて、どの場面をとっても印象的で素敵な映画だなと思いました。
個人的には、ジョセフのあの冴えなさそうな感じのキャラクターが、すごく好きです。冴えないんだけど、目はすごく真っ直ぐで、幸せも苦しみも全部等身大で誠実なキャラクター。
理想と現実のギャップを映像で見せる演出、すごく好きでした。
彼が主人公で本当に良かったと思います。

総合的に、思っていた話とは少し違いましたが、よかったです!!


【下記ネタバレ有りのサマーについて】

すごくモヤモヤするので一人で勝手に書かせてください…

本作は、ジョセフ・ゴードン=レヴィット演じるトムが、ズーイー・デシャネル演じるサマーに一目惚れするところから始まります。そこからずっとトムはサマーから目が離せず、好きな音楽が一緒なことに喜んだり、ユーモアたっぷりなデートを楽しんだり、映画で一緒に沢山笑って、お気に入りのダイナーで好きなパンケーキを食べて、素朴だけどすごく、すごく幸せそうに過ごします。
しかし、その後の展開がこの映画のみそなところと言いますか乙なところと言いますか、すごく残酷なんですよね。こんなにうまくいかない恋愛なんて、現実世界でもそんなにないよ!っとツッコミたくなるレベルで、本当にままならない。

正直にガツンと言ってしまいますと、そうです、私はサマーが許せないのです…!(なので愚痴になってしまいます)
すごくお堅くてロマンチストみたいなこと言ってしまうかもしれませんが…トムが運命の人だと思って自分と過ごしている、という事を知っていながら、トムとの関係は続けつつ、他の男性と交際して、トムに知らせず結婚までする。
そこでもしトムが一方的に迫ってきていて、サマーが渋々会って、でも会ったこと1、2回くらいしかありません。みたいな関係だったらまだわかりますが、普通に仲が良くて、恋愛感情かどうかは別として一人の人間として認め合って、好きだと感じていた人をわざわざ傷付けるなんて、普通に人として、私はサマーが許せませんでした…
しかもまだ何も言っていなければいいものの、サマーは序盤にトムに「誰かのものになりたくはないの」といい挙げ句には「自分として生きていきたいの」なんて、かっこいいこと言ってるじゃないですか。それであの結婚。トムじゃなくても怒っていいと思います…笑
たしかに、恋愛感情はないけど一緒に出かけたりするのは楽しい!みたいな異性の友達はいるでしょう。でも同性でも異性でも、(赤の他人もなのですが)友達という括りに入れたのなら、誠実であるべきだと私は思うんですよね。

あと、「自由でいたい」という言葉を「気まぐれ」の理由にするところも、なんとなく不誠実だなぁ…と……自由奔放で何にも縛られない人生なんて、すごく憧れますが、そこには本当は、理由なんて必要ないはずなんです。理由や言い訳が必要ないくらい、自由でいることというのは他人に干渉しないということなんだと思うのです。
なので、私からしたら、サマーは自由でいるというよりも、ただ気まぐれになんとなく人を振り回している風に写ってしまっているのかもしれません。

まぁ、これは映画なので、すべてはただただ「恋愛ってままならないよなぁ」に収まってしまうのですが。それに、サマーの「私って自立してる」という自己肯定であったり、「このまま結婚なんてしなくていい」という一時の強さであったり、そこから急に「結婚したい〜幸せになりたい」と思ったりする、とにかく気まぐれな心も、実際のところ少しわかってしまうんですよね。人間完璧ではないですし、その時の思考なんて7割くらいは感情で書き換えられてしまうものですし。

なので、長々とサマーについて綺麗事並べて愚痴を言ってしまいましたが、結局私が言っていることは理想論であり、サマーはマーク・ウェブ監督が作り出した、いたって等身大な女性なのだと思います。

つまるところ何が言いたいかといいますと、そういう女性のわがままで気ままなところを等身大に描いたヒロインならば、やはり本作は、純正な恋愛映画として人に勧めるべきではないのかな、ということです。
この映画の立ち位置はきっと、"少し変わった恋愛未満の映画"がちょうどいいのだと思います。