つかれぐま

(500)日のサマーのつかれぐまのレビュー・感想・評価

(500)日のサマー(2009年製作の映画)
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<小悪魔な青い鳥>

小悪魔女子に翻弄されたあげくに振られ、その悔しさをバネに自分の夢へ向けて新たな一歩を踏み出す。こんな使い古されたプロットなのに不思議な面白さ。

まずは時系列シャッフルという構成の妙。キラキラな「サマーとの過去」と、グダグダな「作中の現在」が等価な日々に見えてくる。よく言われる「人生は俯瞰で観れば喜劇」なわけで、これは失恋に最高の処方箋だ。

そしてサマーの魅力。
カラオケシーンの可愛さは「あざとい」という言葉も忘れる破壊力だが、彼女は果たして悪女なのだろうか?結果論だが、サマーと別れたことで、トムは前を向く。サマーの瞳はきれいな青、ファッションにも常に差し色で青が入っている。サマーはトムに幸せを運んだ青い鳥・・そんな「青臭い」解釈もしたくなる。

また全編がアップルのCMのような洗練ぶりで、あまり薄ぺらさを感じない。ホール&オーツの名曲"You make my dreams"に乗せたダンスシーンの多幸感。あの「世界が自分の味方になったような」気持ちが懐かしくなった。