イチロヲ

おたくのビデオ 劇場版のイチロヲのレビュー・感想・評価

おたくのビデオ 劇場版(1991年製作の映画)
3.5
アニメオタクの旧友に感化された男子大学生が、世間から白眼視されてしまう、可哀想なオタクたちを救済しようとする。1980年代の「Japanese OTAKU」を同時代性豊かに風刺している、アニメーション作品。

1980年代の時流と実写インタビュー(中身はやらせ)を交錯させながら、オタクの存在意義を説いていく。製作会社ガイナックスの自伝的な内容になっており、オタクが理想としている未来像が、ハチャメチャ設定で表現される。

各分野における知識人たちは、趣味の追求をやり過ぎると「オタク」という付箋を貼り付けられ、世間から逸脱した位置に置かれてしまう。表面上では、自己流の人生を楽しんでいるようだが、深層心理では寂寥と背徳に苛まれている。

大切なのは、メインカルチャーはサブカルチャーによって支えられていること。そして、下層のサブカルチャーを創出するのは、オタクたちであるということ。オタクへの人間讃歌または鎮魂歌を、真摯な姿勢でスケッチしている快作。
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