Ginny

ひなぎくのGinnyのレビュー・感想・評価

ひなぎく(1966年製作の映画)
4.0
“可愛い”と表現するのは少しミスマッチに思える。日本語の“可愛い”の表現は幅広いし何でも言えるし軽いし。
彼女たちを言い表すならcuteが適しているんじゃないかと見ている時に思った。
(頭空っぽのかわいいーじゃなくて、小憎たらしいかわいさ、を表現したい)

はちゃめちゃ、行動も描き方も。
ただ めちゃくちゃではない。
“お洒落”と表現してまとまってしまう枠にない。
“お洒落”に、“可愛く”作ろうとして ここまでの作品はできない。
監督は、そんなヤワな気持ちで撮ったのではないと思う。彼には、おそらく『美学』がある。世間の成功者たちが掃いて捨てるようなくだらない本を出版して鼻持ちならないくだらない能弁を垂れている美学ではなく、他の誰でもなく自分自身で律して表現したいこうありたい、こうしたいというものが彼には存在するはず。
ファッションセンスもあれば、画面構成、バランスのセンスがあると言えばいいのだろうか。
何かの、誰かの真似をして表現を持ってくるのではなくて、自分が生きてきて触れてきたものを取捨選択して これがいいと自分で言い切れる、揃えられるブレない価値観が監督自身にあるのだと思う。
訳わからない映画ではあったけど オープニングから目を奪われて 一貫して訳がわからないのに 統一感があるというか、もうダメだとならない吸引力を感じられた。

私がこの映画で好きなのは音響効果とBGM。
オープニングからも、映画の中でも、音が過剰に表現されている箇所がある。
めちゃくちゃなのではなく、監督の中で絶妙なバランスのセンスで作られているんだと思う。
主演の2人の言動、演技、動き、衣装、背景、小道具、カメラワーク。
映画を作り上げる要素が 作曲の作業場みたいに上下に動かすツマミが並んでるみたいな感じで 監督が逐一少しずつバランスを整えて作り上げてるイメージでした。

パッパッパって 目まぐるしくイメージが変わっていく演出も効果的でひきこまれた。
まどかマギカの魔女の演出は これに影響受けてるのかな?と思った。

映画と言うより 映画と言うアート、に思われた。
面白かった。
Ginny

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