オトマイム

ひなぎくのオトマイムのレビュー・感想・評価

ひなぎく(1966年製作の映画)
3.0
女の子は自由気ままに振る舞っていいんだよ
どこまでも残酷になっていいんだよ
女の武器を最大限に利用してね
だってそのほうが楽に生きられるから
なんにも悩まなくてすむから
女の子はわかりすぎるほどわかっている、
人生に明るい未来なんてないことを
頑張ってもなにも変わらないことを、そして
自分たちが死んでも誰も困らないことを


🌼


1966年共産主義のチェコでよくぞここまでラディカル&アバンギャルドな映画を撮ったなと思う。今みてもすごく刺激的だし構図もばっちりだし先鋭的なファッションブランドのイメージビデオみたいにオシャレ。人工的な色彩(あるいはモノクロ)のキッチュな画と自然光で撮影された透明感ある映像との対比がたいへん美しい。

おそらく暗喩に満ちたこの作品の意図をぜんぶ理解できていないだろうし、何度か観ることで別の発見もあるだろうと思う。しかし残念ながら私はこの映画が好きになれない。演出のあざとさが鼻について不快感が澱のようにどんどん胸にたまっていくのだ。この全力の奇想天外な演技はズラウスキーを感じさせたけれど、彼はこれを観ただろうか。