吉田コウヘイ

白い少女の吉田コウヘイのレビュー・感想・評価

白い少女(1958年製作の映画)
5.0
原題は“La Premiere Nuit”、『最初の夜』。初恋に落ちた10歳の少年の一夜。何のメタファーなのだろう?

ジョルジュ・ドルリューが代表作『顔のない眼』の前年に撮り上げた、20分前後の短編作。この2年前にアルベール・ラモリスの『赤い風船』、アラン・レネ『夜と霧』が撮られている。

約1分間をかけて長回しで映される、並走する地下鉄の車窓越しに見つめ合う少年と少女のイメージは、名手ジョルジュ・ドルリューによるトワイライトのように煌めくスコアと併せて忘れ難い。可愛らしい初恋の終わりであり、人生の儚さ曖昧さ、そのものでもある。

涙を流した後、少年は地下鉄を出て朝霧の中へと消えていく。その先には、『大人はわかってくれない』の海が続くのかもしれない。