K助

エンド・オブ・デイズのK助のレビュー・感想・評価

エンド・オブ・デイズ(1999年製作の映画)
1.8
1979年、ニューヨークにサタンを産むと予言された娘が生まれる。
1999年12月28日、サタンが受肉。
そして、シュワちゃんは、好むと好まざるに関わらず、世界の命運を担う出来事に関わる事となる…。

1999年。五島勉の大予言シリーズでも話題となった、世紀末の終末思想を反映させた映画。まさしく、トレンドに乗った作品と言えます。「その時代でしか作れない映画」があるとすれば、この作品はその系譜に連なる一つと言えるでしょう。

んが、ホラー映画の大家であるhorahukiさんがチェックされていない事からもわかるように、内容はないよう(笑)。
なんと言うのかなー、ストーリーは悪くないんです。サタン役のガブリエル・バーンは雰囲気たっぷり。シュワちゃんはやつれて細身になった顔が、図らずしも役に沿った形でイメージぴったり。シュワちゃん映画にありがちな、ターミネーターだよね君、みたいな極端な戦闘力と生存力で無双する事もなく、バランスは良い。

しかし、それであっても、今ひとつ楽しめないんですよね。
「悪魔による誘惑」というキリスト教的なテーマは、説得力を持って盛り込まれています。実際に行われる、サタンによる誘惑、キリストを否定し、悪魔に臣従させるという、二千年来のテーマ。この辺りは、キッチリと表現されています。
んが、食い足りない。
これはやはり、オカルト的な頽廃風味が足りない事が原因かと。どう見ても、健全なんですよね、シュワちゃんが。そして、悪魔信者の活動は描けているのですけれど、頽廃的な雰囲気を醸し出すまでには、描写が足りない。
なので、結局はサタンとシュワちゃんのバトル映画にしかなれず…。

いやー、勿体無い。1999年という、もう二度と訪れない時に、オカルト的なテーマで映画を作れる。そして、シュワちゃんという、黙っていても客を呼べる俳優をキャスティングしている。それで何故、こうも普通の作品になってしまうのか。
シュワちゃんに象徴される暴力と、サタンによる精神侵食。対比させるに適した配役もあり、時代的な後押しもある。もう少し、製作者側の思い切りと言うか、悪ノリというか、そういうものがあれば、もっと楽しめる作品になった事でしょう。否定する気は毛頭ないのですが、勿体無いという感想しかありません。

しかし、オカルト映画って楽しいですね! これからも、一つのジャンルとして頑張って欲しいものです。
K助

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