いい話だー。学生によるスポーツで差別問題を打ち破った実話を映画化し、主演はデンゼル、プロデューサーはノリノリの時期のブラッカイマーときてはハズレるわけがない映画。
音楽の効用を知るに最適とも言える演出。アメフトのルールや試合攻防がわからなくても音楽を聞いて観客やベンチの反応を見ていればよくわかる。
人種問題だけでなく学校が併合されたことによる学生間のポジション争いや招かれたコーチと根強く続けてきたコーチの水面下バトルもあったりしてなかなか忙しい。引きずらず矢継ぎ早にシーンが進んでいくのも無理ない。それにしては個々の精神的成長をわかりやすく見せていて、敵対意識が友情へと変わり互いにリスペクトをするまでに至るそれぞれの葛藤をチームの勝利と並行しながら端的に描いている。
そんな中でほとんどブレないデンゼル演じるブーンコーチが人格者過ぎる感じもするがデンゼル・ワシントンの圧倒的魅力と眼差しに飲み込まれ全く気にならなくなるからデンゼルって凄い。
ハッキリと場所を隔てていた親たちがいつの間にか人種関係なくごちゃ混ぜに観戦するようになる下りなんかの街の人々の意識の変化もちらりと見せて欲しかったがガンガン結果だけ見せていく潔さがまとまりを生んでいるのかな。一つ一つ描いていたら2時間で収まらない大変な問題だし、それをタイタンズの奇跡に焦点を絞って牽引したから成立しているのか。
実話そのものが素晴らしい話なのでヘタをしなければ企画段階で勝ちは見えてる。脚色したりフィクションの割合が大きい部分もあるだろうけど細かく追求したら野暮ってもんだ。白人に対する差別意識をより大きく掘り下げている面はあるが、それくらいしなければならない時代だったのかも。単純に実際に起きた奇跡を娯楽映画として楽しめるようまとめあげ、誰もが理解しやすく歴史に残した意義は十分にある良作だった。
娘のキャラがいい。演技がいいからあそこまで前に出せたのかと勘ぐるほど。見事な清涼剤として機能している。なにより愛らしい。娘同士のやり取りがにくい。
