HK

荒野の決闘のHKのレビュー・感想・評価

荒野の決闘(1946年製作の映画)
3.8
“OK牧場の決闘”といえば日本では忠臣蔵みたいなもの。
いろんなバージョンの作品がありますが、ジョン・フォード監督の本作が最もよく知られた古典的英雄譚と言えるでしょう。
原作は実話をもとにした小説“Frontier Marshal”(フロンティア・マーシャル)で3度目の映画化ですが、本作の原題は“My Darling Clementine”(いとしのクレメンタイン)。
邦題に“荒野”がつく数多くの西部劇の中でも最も古い部類の作品だと思います。

本作は前回リメイクの『フロンティア・マーシャル』と比べると、大まかな筋書きは同じでも、絵作りや物語の展開がより劇的で洗練されています。
キャラも一人ひとりがイキイキしており、さすがジョン・フォード。
あらためて観るとアクションよりむしろ日常的な床屋やダンスのシーンがとても印象的。
過去にも観てますが、この歳になってようやく本作の詩情というものがわかった気がします。

保安官ワイアット・ワープ役はヘンリー・フォンダ。
相棒のギャンブラー兼殺し屋ドク・ホリデイ役はビクター・マチュア。
『フロンティア~』と逆でワープには髭があり、ホリデイは髭なしです。
私としては史劇の印象が強いマチュアは体格が良すぎて肺結核には見えないし、シェークスピアを暗唱するインテリなイメージでもないのがちょっと引っ掛かりますが。

そして本作では定番のワープ兄弟VSクラントン一家の図式が確立。
クラントン一家の極悪親父ウォルター・ブレナンは『リオ・ブラボー』の陽気な爺さんとは違って完全悪役ですが、史実ではこの時すでに亡くなっており決闘には不参加とか。
アープ4兄弟のうち、モーガン・アープを演じるのはフォード常連のワード・ボンド。

また史実ではクラントン側には同じくJ・フォード監督の代表作『駅馬車』でジョン・ウェインが演じた主人公のモデル、リンゴ・キッド(ジョニー・リンゴ)がいたはずですが本作では出てきません(後の作品には出てきます)。

ちなみに、J・フォードは後に『シャイアン』でもアープ(ジェームズ・スチュワート)とホリデイ(アーサー・ケネディ)を登場させています。
ジョン・スタージェス監督が『OK牧場の決闘』を撮るのはこの11年後。
HK

HK