滝和也

荒野の決闘の滝和也のレビュー・感想・評価

荒野の決闘(1946年製作の映画)
4.0
巨匠ジョン・フォード
の描く、詩情感溢れる
西部劇の名作。

30年近く前、西部劇に興味を抱き、先輩から勧められたのがジョン・フォードの作品。駅馬車から騎兵隊3部作、捜索者そして荒野の決闘。当時若かった私には一番興味が薄かったのは、今作でした。アクション重視だったんでしょうね。ただ今見てみると、細かな人間ドラマが、やはり今作は短い尺の中にきっちり入っていておもしろいですね。大人になって味がわかったのかもしれません。

トゥームストンの街。その近くで牛をカリフォルニアに運ぼうとしていたアープ家は隙をつかれ、牛を盗まれた上4男を殺される。街の保安官になった長兄ワイアット・アープ(ヘンリー・フォンダ)は弟たちと犯人を探す傍ら、街の人々や顔役ドク・ホリディと親交を深めて行く。そこに、ドクを追って1人の貴婦人が街にやってくる…。

不器用すぎるワイアット・アープを優しさと強さを秘めたヘンリー・フォンダが好演。ドクに想いを寄せる貴婦人クレメンタインに一目惚れ…。その優しさと不器用さに男の純情を感じますね。またヴィクター・マチュア演じるドクとの友情。ドクに惚れている街の女チワワの嫉妬、三角関係。恋愛劇としての側面も、西部の雄大な風景の中語られていきます。街の教会再建のため、行われるダンスシーンでクレメンタインとアープが踊るシーンがお気に入りです(^^)

勿論、砂塵をあげ走る馬車、一足即発の酒場での緊張感など西部劇でなくてはならないシーンも名匠フォードならではの迫力です。ラストはご存知OK牧場での、クラントン一家との対決、その後何度もリメイクされた名シーンでもあります。陰影がクッキリと描き出される撮影により、その砂塵と荒野の乾いた西部の街、風景をリアリティを持って描き出しています。

西部の情緒ある背景の中、淡い恋愛劇と激しい活劇、復讐劇が人の業によって繋がり、また対比となってお話を盛り上げて行く名作です。

クレメンタインと言う名前、私は好きです…。
滝和也

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