いや～せつない…。『美女と野獣』のような話に思えるが…。主人公は周りから疎まれている偏屈な中年男。疎外されてそうなったのか、その性格故か、日陰者として生きる毎日。そんな彼の楽しみはアパートの向かいに暮らす美女の生活を覗き見ること。決して真似しないで下さいと下にテロップでも出そうなヤバイ映画である。でも実は覗き見られてる彼女も結構ヤバイ。この作品、結構なフェチズムを追求している映画でもある。でもこれが人間の心理と思える所が表現されていて、自分は素直に分かるなと共感出来た。いや、分からなくてもそれは人それぞれ。だからこそフェチズムだと思う。中年紳士の仕立屋は彼女を愛する。それはあまりにも純粋で美しい愛。もしこれがルックスの良い男なら普通のラブストーリーとして成立するんだろうが、そこに本作の『美女と野獣』的な要素がある。でも野獣は実は王子様だし、ファンタジーの世界の話。あまりにもせつない愛の行方は…。生々しくなりそうな所をフランス映画らしく気品と芸術性とで表現されているのがせつなくも美しい。名作映画の一本です。
