鬱映画特集
鬱ランクC
ジャンル:おじさん悲惨系映画
「向かいの部屋の美女が…」的なセクシービデオにありそうな物語だが、フランス映画はそのまま行為に持ち込まず、こりゃまあ悲惨なことになる。
覗きなんてタイホーな案件だから主人公には少し抵抗感があるはず。ハゲ散らかしてるし、オッサンだし。でも、段々と彼の生活を見ていると、悲しくなってくる。
子どもに嫌がらせられるわ、刑事が偏見持ってて疑われまくるわ。周りに住んでる人からも嫌がられてる。唯一の楽しみはネズミと戯れることと、娼婦と話すこと。
向かいの部屋の女の子が寄ってくると、たちまち自分のことを話し出す。好いてないんてわかりきってるのに。そこが悲しい。今まで話す相手すらいなかったんだなって。
特殊性癖を持ってるだけで、普通に良い人。おそらく、ユダヤ人(○○ヴィッチという名前から)だから毛嫌いされているのかな。
ラスト、クライマックスの主人公の言葉がこの上なく美しい。「君を少しも恨んでない。ただ死ぬほど切ないだけだ」その後の展開は…これまでに幾度となく見てきた意地の悪い展開。
変態的であり、純愛的。幻想的で、現実的。こうした境界線を行き来する不可思議さは芸術的であるが、芸術的であるからこそ、一歩引いてしまって見ている自分がいる。美しさが残酷さを薄れさせている分、展開こそ意地が悪いが、鬱の強度はあまり強くない。
非モテを拗らせると、こうして利用されるケースがあります。気をつけましょう。