一

エレニの旅の一のレビュー・感想・評価

エレニの旅(2004年製作の映画)
4.3
ギリシャの巨匠 テオ・アンゲロプロス監督作品

1919年から1940年代にかけて激動の運命をたどる孤児女性の想像を絶する悲恋を通し、愛と喪失や人間の普遍的な感情の動きを描く

いやー参りました
これぞ世界の巨匠と言うべきか
エレニの叫びが頭から離れない…
正直アンゲロプロス作品はあまり好みではなかったんだけど、本作を観てしまうともう完全ノックアウト状態

なんという救いのなさというくらい絶望的な映画だけど、アンゲロプロスの素晴らしさをようやく理解できるほど魅力的な映画で、芸術性の高さは当然ながら、独特な表現や取っ付きにくい難解さも本作に関してはそれほどないのでかなり観すい部類の作品かと

心奪われるファーストカットから始まり、『永遠と一日』やタルコフスキー作品を想起させるようなロケーションの美しさ
じりじりと横移動するカメラワークや長回し多用したり、ロングショットで捉えられた幻想的な構図の釣瓶打ち
まさに“映像詩人”に相応しいほど引きの画の巧さというか吸引力というか…
計算しつくされたワンシーン・ワンショット、隙のないフレーミング、隅々にまで徹底された美術や物悲しい音楽など、とにかく完膚なきまでに打ちのめされるほどで、圧倒的な美しさに思わずため息がでてしまうような映画であると断言できるし、こんな映画は他に類を見たことがないというレベルの一大叙情詩

あまりにも苦しすぎる映画だけど、誰がどう観てもまるで動く絵画かと錯覚するほどの桁違いに荘厳な映像力に、有無を言わさず見入ってしまうほどの傑作
アンゲロプロス半端ないって…👏🏻

〈 Rotten Tomatoes 🍅67% 🍿90% 〉
〈 IMDb 7.9 / Metascore 73 / Letterboxd 4.2 〉

2021 自宅鑑賞 No.457 GEO
一