藤田武彦

息子の藤田武彦のレビュー・感想・評価

息子(1991年製作の映画)
3.7
【"言葉"に対するアンチテーゼ】

「それでいいでねえか!」
耳が聞こえず、口がきけない娘を弁護する哲夫。
激しい肉体労働で稼いでいる。

父は、歌を歌い、音楽で息子に気持ちを伝える。

その直後、義理の娘を想うシーン。映像は美しいが、音楽は不穏でもの哀しい。
自宅に戻って独り、家族を想像する画は美しいが、音楽はやはり不穏。
独居老人の"家族"への関わり方。山田洋二監督の思いはここにある。


役者の演技が自然で、人物に生の存在感がある。
独居老人の問題と、義理の子供、子育てなどをまとめ上げた佳品。
藤田武彦

藤田武彦