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ボイスのhorahukiのレビュー・感想・評価

ボイス(2002年製作の映画)
3.6
久々の再鑑賞。
当時のJホラーの影響を思いっきり受けてる韓国ホラー。『着信アリ』と同じく携帯を題材にしたホラーですが、監督曰く『リング』に影響を受けたそう。実際に似てる部分が結構あって、当時のJホラーの影響力の凄さを改めて実感。

あらすじ…
援交を記事にしたことで、脅迫電話されたり付け狙われるようになった主人公ジウォン。友達の夫がセカンドハウスを貸してくれたので、しばらくそこで暮らすことに。電話も新しくしようとするも、携帯会社の端末エラーで1つの番号しか候補がでない。仕方なくその番号にしたら、変な電話がかかってくるようになる。それは女の叫び声のようだったという話。

高校生の時に初めて見て、ノベライズも読んだはずなのですが、全然内容を覚えておらず…。仲良くさせていただいてる方々が、最近続けざまにレビューをあげてたので、私も見てみました(^_^)v

Jホラーっぽい恐怖演出を取り入れつつも内容はまさに韓国映画といった感じ。途中まで、不条理な怪異譚かと思わせておいてから、携帯電話番号の過去を辿るうちに、朧げだった霊の霊たる所以が判明し、怖さにつながっていくというのは確かに『リング』的。でも、その過去の出来事が韓国映画っぽいドロドロした悲しくも辛い話になってる。非現実的な異常が日常を侵食していく話だったのが、凄く現実的で身近な物語に変貌する展開も好きです。

そして、所々で出てくるキーワードや登場人物たちの微妙な反応からさりげなく結末を予想させて、「多分こうなんだろうな〜」とのほほんとした気持ちにさせてからのツイスト展開が非常にうまい。とても複雑な主人公たちの関係をうまくまとめて、関係の危うさを演出しつつ、伏線としても成立させてるのも良いですね。

オカルト要素をふんだんに入れつつも、人間の業や怖さを男女問題や親子問題の視点で描いてるのも良い。真の化物は生者か死者か。生者同士の対峙シーンや階段でのシーンを見せてからの、死者と生者の対峙や再度の階段シーンを対比的に入れるのが丁寧ですね。生者も死者も関係なく、怖いのは人間の業だということを知らしめる怪談的なお話なのも好み。

ただ、気になったのはシーンのつなぎ目。凄く不自然な切り方をするんですよね。それのおかげで、妄想かどうかをわかりにくくしてるとは思うのですが、そもそも妄想かどうかっていうような作品じゃないので、要らないように思いました。援交取材の逆恨みで主人公を付け狙う奴の顛末も特に必要ないように思います。丁寧だとは思うんですけど、ここら辺はうまく本筋の方に絡めて欲しかったですね〜。あと子役の子の表情や仕草の演技は良かったのですが、絵本に文句言うとことか、わざとらしいシーンが多いのも気になりました。
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