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アクロス・ザ・ユニバースのpenのレビュー・感想・評価

アクロス・ザ・ユニバース(2007年製作の映画)
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舞台は1960年代のベトナム戦争真っ只中のアメリカで、家には召集令状が届いて若者が戦場に赴き、街ではアートや音楽の文化が溢れる中、戦争反対を訴える若者達がデモ運動を起こしている。
そんな時代の中で夢や悩みを抱えた若者がニューヨークで同じ屋根の下で暮らすようになり、それぞれの道を歩いていこうとする青春映画。
ビートルズの楽曲約30曲が使われたミュージカル映画で、役者さんは吹替無しで歌っている。皆歌が上手い!

基本的には故郷のイギリスからアメリカに渡ってきた1人の男と、そのアメリカで出会ったヒロインとの関係を追ったラブストーリーだ。
同時に激しい流れの中にいるアメリカを外部の目から見つめたドラマでもある。声高に革命を叫ぶ若者達も戦争も、主人公の男にとっては冷めたもののように見えていて、その目線が序盤に主人公の過去を描くことで現代人目線にならないようにしているのが手が行き届いてるように感じた。その過去が彼がアメリカに来る理由であり、彼自身の存在が戦争に深く結び付いているからだ。
そんな男性と、1960年代の当時を普通に生きてきたヒロインの想いのすれ違い。どちらが悪いという訳ではなく、こういう時代だからこうなってしまう、というのが切ない。

そんな2人や彼ら以外の若者の姿をビートルズの様々な楽曲が彩る。時に愉快に、時に情感豊かに歌い上げられると、別々の場所で起こる人々の出会いや別れがカットバックで提示され、どんなことにあろうとも音楽が常に人々の人生に寄り添っているかのように感じられる。時々サイケな映像表現も差し込まれて意表を突かれたり。

私はビートルズについてそんなに詳しい訳ではないけども、それでもビートルズの楽曲を沢山使って、それで物語を締める場所があの場所というのは、ドラマチックだなぁと痺れた。
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