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レ・ヴァンピール -吸血ギャング団-のhorahukiのレビュー・感想・評価

4.0
若くて優秀な記者フィリップとお間抜けだけどいざという時やってくれるナイスなおじさんマザメットのバディが、巷を賑わす極悪盗賊集団「ヴァンピール」とバトルを繰り広げる全10話からなるホラーちっくなサスペンス。と言ってもホラー的なのは1話目だけですがね。

10話分書いてるので超長文です。
なのでスルー推奨です(笑)ただ、白黒サイレントで古い映画ではありますが、笑えて楽しくて続きが気になって仕方なくなるレベルで面白いので是非見て欲しい作品です!!

1話目『首なし死体』
新聞記者フィリップゲランドは、首なし死体で発見された警部を殺害したヴァンピールという盗賊団を調査するため、父親の旧友ノクス邸にやって来た。そこには時を同じくして富豪の令嬢が宿泊中。その夜、令嬢の金品が盗まれる事件が発生。なぜか主人公の上着のポケットにそのひとつが入っていて…。

めちゃくちゃ面白い。サイレントなので要所要所しか字幕が入らないのですが、身振りや表情で会話の内容を推察できる演技が丁寧だし、窃盗シーンの光と影を使った演出や隠し扉から覗く場面が不気味さを高めてて素晴らしい。白地の背景の中を真っ黒な人影が伝って行く映像も印象深い。

2話目『殺しの指輪』
ヴァンピールの舞の公演があるということで鑑賞に来たノワール伯爵。ヴァンピール役の女優に指輪をプレゼントするも棘があって女優はカンカン。フィリップは女優にインタビューするために公演に行くが、女優が急に倒れ…。

2話目は17分と短いけど、フィリップが今回もヴァンピールに接近してしまって危ない目に合うという物語は1話目に近い。そんで、まさかのマザメットが重要キャラになりそうな予感で笑いました。名前が覚えられなくて、ちょっとキツくなってきました。

3話目『赤い暗号文』
ヴァンピールの暗号書を手に入れたフィリップ。自宅でその解読をしていると、紹介でやってきた家政婦をフィリップの母親が招き入れ、フィリップ家で雇うことに。でもその家政婦の挙動が怪しい。彼女をヴァンピールの一員イルマヴェップだと見抜いたフィリップは…。

ついに登場イルマヴェップ。セリフに頼らずに「今から悪いことしますよ〜」ということを滲ませる表情や挙動がうまい。母親の誘拐や、相棒感が出てきたマザメットの登場、そしてスリリングなクライマックスとすごく面白いエンタメ作品になっています。

4話目『幽霊』
昼間は身分を偽り銀行で働いてるイルマヴェップ。ある日、大金をお偉いさんの代理人が運ぶことになり、その代理人が約束の時間に間に合わなければ代わりに自分に運んで欲しいと依頼される。シメた!とばかりに移動中の代理人を強襲。しかし、時間通りに殺したはずの代理人がやってくる。いったいどうなっているのか…。

盗賊団vs盗賊団な悪同士の熱い対決!まさかのヴァンビールにライバル登場で楽しくなって来たと思ったら割と小物でしたね(^_^;)フィリップとマザメットも美味しいとこで活躍しちゃうし面白い回でした。そんで、カメラのうまさか光ってます。マンションの壁を隔てたカメラの視点移動により映像だけでコトの真相を伝える鮮やかさ。

ここら辺から核心に入ってくので、未見の方はスルー推奨。各話若干ネタバレあります。


5話目『死者の逃亡』
フィリップの活躍で捕まったエンリケだったが裁判官の目の前で青酸カリを飲んで自殺。翌日の朝に解剖をすることになったが、朝にはもぬけの殻になっていた。その記事を書いている時に、フィリップはヴァンピールに攫われる。なんとか脱出し、ヴァンピールの手がかりを手に入れて向かう先に待っていたのはエンリケだった。

エンリケモレノvsヴァンピール再び!小物かと思ってたエンリケが今回はやってくれます。前回のことを根に持っていたエンリケがヴァンピールへの復讐を企てる。やっぱり悪vs悪の戦いは熱いですね。そんで相変わらずマザメットが優秀すぎる!ばらばらな事柄が終盤に向かって収束して行く流れはワクワクするし、エンリケ・ヴァンピール・フィリップの三つ巴のバトルも楽しい!

6話目『幻惑する目』
とある会社の会計士が大金持って逃げた。捕まえた人に全額あげるよという新聞広告が掲載される。フィリップとマザメットはホテルに泊まってる怪しい奴を追いかけていくと森の中で鍵がかかった箱を見つける。その大金を盗むためにヴァンピールの一員イルマヴェップはホテルに侵入。エンリケも策を弄し同じホテルに侵入するが…。

またまたエンリケモレノvsヴァンピールの悪対決。前回はエンリケが勝利を収めましたが、今回も「マジで!!」と声を出したくなるほどの大きな展開が。エンリケすげぇわ。まさかの催眠術の使い手とは。ヴァンピールよりこいつ先になんとかせなあかんのちゃうのん?(笑)今回も多視点での物語が終盤に向けてひとつに収束する構成ですが、前回ほどのスマートさはない。

第7話『サタナス』
エンリケ&イルマヴェップの前に現れた大ヴァンピールサタナス。強力な兵器で脅して2人を仲間に引き入れる。サタナスは2人に命じて金持ち銀行家から現金の奪取をやらせる。エンリケとイルマヴェップは、手下の女を使って銀行家の口座から金を引き出そうとするが…。

またまた急展開。まさかのエンリケがヴァンピールに入団。そんでMIシリーズも顔向けな緻密かつコミカルな窃盗作戦が楽しい!声と署名はそのためね(笑)そんで相変わらずマザメットはタイミングがいいですな。こいつが黒幕なんじゃないかと思ってしまうほど(^^;; 最近主人公のゲランドが空気になってきてるような…。

第8話『稲妻の主』
エンリケモレノが処刑された!イルマヴェップは投獄され裁判のため船で護送。そこへ大ヴァンピールサタナスが接触。イルマヴェップを逃すために爆弾による爆破と見せかけて護送船を砲撃。一方、フィリップに危機感を覚えたサタナスは例の手袋と帽子爆弾を持ってフィリップに接触を図るが…。

サタナスvsフィリップゲランド!というよりサタナスvsマザメット。最近フィリップがどんどん空気になっていく代わりにマザメットの優秀さが目立ってきましたね。小学校退学になった息子まで出てくるし。扉を隔てたやり取りが面白かった。そして映画史上に残っている…のかはわかりませんが、初老のおっさんによる超ダイナミック乗車が見れます(笑)そして毒の男ヴェネノスがどう絡むか見ものですね!

第9話『毒の人』
フィリップがいきなり婚約!婚約パーティを狙い、ヴァンピールはフィリップとマザメットを毒殺しようと配食業者になりきり潜入。間一髪でかわしたフィリップは隠れ家へと行くが、そこもイルマヴェップに突き止められてしまい…。

相変わらずマザメットが優秀すぎ!今回も大活躍でフィリップをサポートしつつもコメディ要員としての役割もしっかり果たす素晴らしい活躍。イルマヴェップの有能そうに見えてのドジっぷりも可愛いし、クライマックスのカーチェイス→汽車上のガンアクションという見どころもあって大詰め感が出てきました。


第10話『血に染まった結婚』
フィリップがついに結婚!前回犠牲になった管理人の妻はヴァンピールへと復讐を企てるがいいようにヴァンピール側に付け込まれ、フィリップ家への侵入を許してしまう。マザメットの機転でなんとか危機を脱し、逆にヴァンピールの隠れ家を突き止めるも間一髪逃げられる。そして妻を拉致られてしまうフィリップはまたまたマザメットの機転でヴァンピールを追うが…。

ついに最終話。前回のチェイスシーンも印象的でしたが、今回もチャリのシーン等、外での映像が好き。そして珍しくフィリップの活躍も見れるし、サタナスのダイナミック乗車を凌ぐ、高層階からのローリング着地や、即死角度での地面激突からのナチュラルな立ち上がりをそれぞれ見せるイルマ&ヴェネノスの強靭さも見どころ(笑)マザメットの似顔絵とか最高に笑ったし、ヴァンピールの謎ダンスも最高!全話中いちばん笑えた最終話で満足でした!

この時代の映画でここまで純粋に楽しめるなんて思ってなかったので正直驚きました。まだまだ見ていたくなるほどの面白い作品なので、オススメです(*^^*)
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