YokoGoto

灼熱の魂のYokoGotoのレビュー・感想・評価

灼熱の魂(2010年製作の映画)
4.1
ーメッセージ性の高い物語。衝撃の展開で茫然自失ー

2010年のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品。
監督の過去作はほとんど観ているが、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品の中では、特にドラマ性が高いと思った。

とにかく、シナリオが容赦ない。

元々、社会派サスペンス系が多い監督ではあるが、シナリオもドラマチックである所も特徴的だ。本作も、サスペンス調に進む物語の根本には、怒りにも近い社会派メッセージがしっかり通っていることに、流石だなぁと感じる。

緊迫感の演出も、さすがドゥニ・ヴィルヌーヴ監督である。
この監督は、本当に緊迫感に導く手法がとても上手いと思う。

物語は、突然亡くなった母の遺言どおり、生きている父と兄を探す双子の物語。母親の過去を回想シーンでひもどきながら、母親の過去の痕跡を探す双子の兄妹がたどり着いた真実に、ある意味、茫然自失となった。

乾いた大地で繰り広げられる内戦と、その犠牲者たち。
宗教を巡る内戦であっても、被害者たちの所には、神様とは無縁の悲しい現実だけが広がっていくのだ。

神がいるなら答えて欲しい。
ここまでして、神を信仰すべきなのか。

観終わったあと、行き場の無い怒りだけが、いまだ収まらない。
衝撃的ではありますが、素晴らしい作品でした。
YokoGoto

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