けーな

灼熱の魂のけーなのレビュー・感想・評価

灼熱の魂(2010年製作の映画)
4.4
大変衝撃的な話だった。過去に見た衝撃的な映画のベスト3に入る気がする。後味も良くないが、嫌いではない。好きでもないけれど。観終わってからも、しばらく頭から離れずに、考えさせられる映画だった。

1+1=1 その意味が分かった時に、全身鳥肌が立った。

「メッセージ」や「ブレードランナー2049」を監督したドゥニ・ヴィルヌーヴが、脚色と監督を担当。

原題の「Incendies」は、フランス語で「火」や「火事」という意味だそうだ。今作は、ベイルート生まれで、カナダ在住の劇作家ワジディ・ムアワッドが書いた舞台用の戯曲を映画化した物で、その戯曲は、「浜辺」、「火事」、「森」、「空」と続く「約束の地」4部作の第2作目に当たるのだそうだ。他の3つが、どんな話だか、全く知らないが、2作目だけで、こんなに重い話なので、4作全てを観たら、相当衝撃を受けるだろうと思う。しかも、これを舞台で、どう表現するのか、興味深い。日本でも、舞台で演じられたことがあるらしくて、驚く。

今作は、ドキュメンタリーであるかのような錯覚に陥らされる。そして、観終わった後、フィクションで良かったと心底思った。また、2人が、双子で良かったなということも、強く思った。1人だったら、この事実を受け止めることが容易ではないと思うからだ。彼らが、気持ちを分かち合える人がいて良かったと、つくづく思ったのである。

また、他の方のレビューで、母親が、双子に、事実を知らせるべきだったのだろうかとか、なぜ知らせたのだろうというような意見を多く見かけた。そして、事実を知らせるべきじゃないという意見を多く目にした。私は、双子に知らせるべきだったか否かの問題よりも、母親は、何より第1に、長男に、事実を知らせたかったのだろうなと感じた。母親として、どれだけ長男のことを愛していて、ずっと探し続けていたのか、それを1番伝えたかったのだろうと思った。それ故に、双子にも知らせる結果になったのだろうなと。そして、もう1人の人にも伝える結果になったのだろうなと…。
けーな

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