和桜

灼熱の魂の和桜のレビュー・感想・評価

灼熱の魂(2010年製作の映画)
4.1
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督によるレバノン内戦を背景に持つ戯曲の映画化。
死んだはずの父、存在すら知らなかった兄を探せという母親からの遺言。二人を調べる中で明らかとなる母親の壮絶な人生とその謎。冒頭から謎だらけの展開で引き込まれ、終わってみればある数式が頭から離れない。

登場人物がこちらを見つめることで、「観客を証人に誘い込む」という監督の意図が見事に成功している。語りで成り立つ戯曲をここまでの映画に仕上げたのがまず驚きだし、この監督作の中でも圧倒的な巧さとメッセージ性の融合だと思う。
憎しみの連鎖を終わらせるのは真実か愛か。そこにおける第三者の役割とは。このテーマに興味がある人には是非観て欲しい。
和桜

和桜