タカシサトウ

ションベン・ライダーのタカシサトウのレビュー・感想・評価

ションベン・ライダー(1983年製作の映画)
3.9
 メチャクチャな映画だった、いい意味でも、悪い意味でも。

 ストーリィは、ブルース(河合美智子)とジョジョ(永瀬正敏)と辞書(坂上忍)の中学生3人がヤクザに誘拐された同級生を助け出そうというものが一応はあるけれども。でも、即興演劇のように、その場のノリで場面がどんどん進んでいく。

 ブルースたち3人が、思春期の鬱屈と、その事件に絡めて、それとどう対決していくかが、一つのテーマだとは思われ、何か常識的なものを超えた所に何かを見出しているように思った。

 伝説とも言われる、相米慎二の長回しで、延々と撮り、遠過ぎてどの場面も顔がよく見えず、台詞もあんまり聞き取れず、酷いもの。しかし、即興演劇のように、延々と映像が続き、かなりのテンションだった。

 ジョジョの永瀬正敏が、飛び移るのもスタント無しだし、アラレの原日出子とブルースの河合美智子が川の中に飛び込むのもスタント無しで、10メートル下の川に飛び込む。伊武雅刀の火責めも本物の火で驚いた。

 大怪我にならないのが不思議な位。それが、ただの無謀だけでなく、かなりのテンションの高さを生み出している、と思った。

 ブルースの河合美智子は、この時15歳、多分この時にしか出せない表現を無茶苦茶にされながらも相米慎二に引き出されたのだろうし、永瀬正敏もそんな感じだと思うけれど、大変な撮影だったろう。

 久々の相米慎二作品で、ネットで紹介されていたので観て、これは初見だった。「台風クラブ」や「セーラー服と機関銃」とも関連すると思う。一見の価値はあると思った(2021.8.14)。