幕のリア

MIND GAME マインド・ゲームの幕のリアのレビュー・感想・評価

MIND GAME マインド・ゲーム(2004年製作の映画)
4.7
「夜は短し〜」で湯浅作品初体験。
内容はともかく、見たことのないアニメ表現には度肝を抜かれました。
「夜明けを告げる〜」は観ようと思ってるうちに終映し、今作が一番!との評判があまりに目に入るので、普段足を踏み入れないアニメコーナーへ。

大友克洋やトロンを初めて目にした時のような脳に直接訴えかける、色彩、タッチ、アングル、構図…あと目の表現と目力。

アニメ鑑賞はほぼ素人。
実写ではあり得ないアニメならではの画が詰まっているのは当たり前として、撮りたい画が明確で、それが全編に渡り全く油断する事なき連続で、観るものを全く飽きさせる事が無いのにひたすら圧倒された。
どんな絵コンテからのはじめの一歩かわからないが、病的なまでに詳細に渡る指示が無ければ、かように過剰なスパイス混ぜ込み過ぎにも関わらず、絶妙なテイストとフレーバーのガムラマサラは調合出来まいて。
声優陣の統一による世界観の形成と音楽のバランスも素晴らしく文句の付けようがない。

具体的に語るべき言葉を、初見ではとても持ち得ない。
映画はすべからく緻密なディテールを持つ可し。
世界的にどんな評価にあるのか、気になって仕方ない。

〜〜〜

早稲田松竹でレイト。
改めてスクリーンで観て正解。

生に対する圧倒的な希求が疾走感に溢れ描かれるのだが、その行き着く先に感じたのは走馬燈と冥府での幻覚。
日が沈む西。
ちょっと考え過ぎか。

ぐいっと魂の鎌首が持ち上がると同時に、静かに自らの半生を省みて、遠き幼き日の妙にクリアな一瞬の記憶の数々が色彩や音やにおいと共に鮮烈に蘇ってきた。

やはり、言葉が追いつかない映像体験。

2017劇場鑑賞78本目
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