無学

グリズリーの無学のレビュー・感想・評価

グリズリー(1976年製作の映画)
2.8
吉村昭の硬質な文体の記録文学が好きだ。

なかでも「羆嵐」という小説は
比喩も直喩も用いることなく、
即物的にドライな筆致で
三毛別の凄惨な事件を再現しており、
ヒグマの鼻息、体温、獣臭を
読者の目の前に存在せしめ、
「破獄」と双璧の傑作と思っている。

「羆嵐」に着想を得た「リメインズ」の凡作ぶりには、とくだん感想も持たなかったが、本作やいかに。

アメリカ制作だけに、
ジェイソンLikeなスプラッターじゃねえだろうな!
と、一抹の不安を抱きつつ、
ジェイソンだろうが
フレディだろうが
UMAだろうが
ヒグマのプーさんだろうが、
かかってこい!
と、こちとら丸腰での対戦。

本物の熊で撮影されていたので、
存外に良い出来で
こんどは違う不満が出てくるという身勝手は、そりゃこっちは客だから。

鵺 ( ぬえ ) の鳴く夜はおそろしい…
とばかりに、
正体のわからぬ禍獣に怯える姿として描いても面白いだろうなあと。

思い出すはモルグ街の殺人。
さんざん引き付けておいて
オランウータン!
無学

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