たにたに

人生はビギナーズのたにたにのレビュー・感想・評価

人生はビギナーズ(2010年製作の映画)
3.7
【不安になったら鳴けばいいんだ】
2022年78本目

母親が亡くなって5年、75歳を迎えた父親からゲイであることのカミングアウト。そして、父親は癌に侵され、余命幾許もない。

残り少ない人生を、父親は本心のままに生きることを決めたのだ。
若い彼氏を作り、そしてクラブに行って踊ってみたりする。

妻のことは人として愛していた。
しかし、夫婦関係の中でも、男性に目がいっていたことを彼は自覚しており、
その中でなんとか、妻を好きになろうと努力していた。

そして、それを妻も気づいていて、自分のことを好きにさせようと努力してきた。

そんなことを知らされた、ユアン・マクレガー演じる一人息子。自分の幼少期(過去)、愛し合っていたと思っていた両親の間には微妙な関係性があったということだ。

そんな彼自身も、誰かとのお付き合いを数回か繰り返すが、上手くいかず終い。最近では好きになるということには不安を覚えている様子である。

父親のカミングアウトをきっかけに、息子自身も人生への向き合い方を考えるようになる。とのいうのが話の本筋なんだけど、
イマイチその感情への転換理解が難しいなと思いました。

息子はカミングアウトした父親に対して、酷く落胆したり、無視したり、絶望したりするわけでもない。むしろそこから、自分にフォーカスを当てて、自身の"恋愛"に前向きな捉え方をしていくのは、彼自身が異性に対して、そして恋をするということに対して、本能的に貪欲になり、癒しを求めていたのではないかと思われます。
顔には出さないけれど、心の中では父親の件で複雑な感情が渦巻いているはずなのである。

その意味では、人間というのは一人では生きていけない生き物なのだなぁと再認識した。
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