キッチー

人生はビギナーズのキッチーのレビュー・感想・評価

人生はビギナーズ(2010年製作の映画)
3.8
年をとった父親ハル(クリストファー・プラマー)と、父親から「自分はゲイだ」と突然カミングアウトされて戸惑う息子オリヴァー(ユアン・マクレガー)の話。コメディかと思って借りてきましたが、違ってました。ちょっと重いけど、淡々と進んでいきます。

50年代はLGBTが、まだ世の中に認知されていなかった時代。恋人にカミングアウトしたハルも凄いけど「私が治すわ」と言った恋人(母親)も凄いな~って思いました。でも、彼女の本音はどうだったんだろう...
時代は移り、最愛の妻は亡くなり、残りの人生を自分に正直に生きると決意した父親。カミングアウトした後の彼の超前向きな姿は感動ものでした。

恋人募集の自己紹介(写真付)はあまり下品にならず、年長者らしさもありましたね。新しい恋人や仲間と人生を貪欲に楽しむ姿は素晴らしかったです。いくつになっても病気になっても前向きに生きていくって、やはり大事なんだなって思いました。

対照的に独身の息子は恋愛に臆病でなにか煮え切らない感じでした。ぐだぐだした感じの演技だったので、最初ユアンと気付かなかったほど←キャストも確認せず借りてきた(笑) なかなかナィーブな役でしたね。
恋人アナのメラニー・ロランも美しいけど悩みを抱えている女性であり、そんな二人の恋愛はなかなか上手く進んでいかない。

ゲイの父親が自分を見習え!と言う訳はないんですけど、息子がそんな父親からも人生を学ぶところ、いいですね~(笑)
カミングアウトされて父親の愛情を疑ってしまう息子、カミングアウトしても息子を心配する父親、「ライオンに会いに行ってライオンに会えなかったけどキリンに会えた。キリンに会えただけでも良しとすることが出来ず、ライオンを待ち続ける。そんなお前が心配だ」という話にはぐっときました。

クリストファー・プラマーは初見だったので、どんな役者さんか知らなかったのですが、この役はちょっとチャレンジングでしたよね。アカデミー助演男優賞受賞は納得。イキイキした自然な演技で性的な感じはあまりせず、好印象でした。

この作品は父子の話、前に観た20センチュリーウーマンは母子の話、ミルズ監督自らの家族を題材にしているらしいけど、実際はどんな家庭だったのか、興味深いですね。2つの作品を合わせたような家庭だったのかな~。どちらにしても、愛情溢れる家庭だったのは間違いないんでしょうけど...ちょっと興味ありますね。



あと、父親の飼っていた犬...声は出ないけど、心の声がだだ漏れで、日本のドラマ「マルモのおきて」のムックに似てました。犬種は違うみたいですけどね(笑)
ミルズ監督、まさか、インスパイアされたのでは!?(笑)
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